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『デート・ウィズ・ドリュー』にみる、突飛な夢が実現するまでの記録

   

『デート・ウィズ・ドリュー』というドキュメンタリー映画を観た。

10年ぐらい前、映画館で上映しているのを見かけて面白そうだなと思ったけど、すっかり観るのを忘れてた。

この映画は題名の通り、女優のドリュー・バリモアとデートするというお話。電波少年的企画というか、今で言うと「やってみた」的企画のジャンルだ。

主人公のブライアン・ハーズリンガーは27歳(だったと思う)の青年。当時無職。

テレビのクイズ番組で賞金を獲得したので、そのお金を使って小さい頃から憧れてたドリュー・バリモアとデートしようと決心する。ちなみに彼はドリューと面識が一度もない。

期限は30日。

ツテもコネも何もないブライアンが、知人を頼りに何とかドリュー・バリモアにデートの申し込もうと挑戦し始める。

***

いやー、笑った。

このブライアンがまた憎めないキャラでとても好きになった。

ただ映画では説明がなかったけど、ブライアンもまったくの一般人というわけではないみたい。

ウィキペディアには彼が短編映画の監督やミュージックビデオの制作アシスタントを務めたという経歴が載っていた。実際、彼はハリウッドに住んでいるようだったし、彼の知り合いには業界の関係者がいるようだった。

でもそれはたとえ業界人とはいえども、ハリウッドスターに会うのがどれだけ難しいのかという証ともいえるだろう。

※ここからネタバレになります。
 
 
 
 
 
 

 

 

 

映画の内容だけでも十分面白いんだけど、今、改めて観ることで別の面白い発見もあった。

このドキュメンタリーが撮影されたのは2003年。

映画が進むにつれ、2015年の今とは事情が違うことが要所でわかってくる。

それが一番顕著なのは、彼がドリューとデートしたいというメッセージ動画を作る部分。

今だったら作った動画をYou Tubeなんかにアップして、できるだけ多くの人に見てもらおうとするだろう。

だけど当時はブログが一般的になりつつあったものの、動画サイトはまだなかった。(You Tubeの開設は2005年)それどころかサーバーがダウンしてしばらくサイトを見られないということもときどき起こったぐらいだ。

今ではとても信じられないけど、思い返すと10年前って確かにそんな感じだったんだよ。

じゃあ当時のブライアンはどうしていたのかというと、ドリューに近しい関係者に片っ端から電話をかけて、動画を焼いたCDを宅配便で送り続けた。

だけどみんな全く相手にしてくれない。

まあ当然と言っちゃ当然だよね。知り合いの知り合いとはいえ、会ったこともない男とデートしてくれと頼むなんて。ましてや相手は誰もが知ってる大女優だ。

結局、知人を頼りにコンタクトをとろうとする作戦は全滅。

そして最後に彼がとった手段がサイトで不特定多数の人に協力を呼びかける作戦だ。

ウェブに自分がどんなにドリュー・バリモアとデートしたいかということ、そしてもし彼女と繋がりがある人はぜひこのプロジェクトに協力してほしいというメッセージを添えた特設サイトを作る。

今では当たり前になったこの行動も当時はまだ新鮮だった。

だからメッセージは一気に拡散され、様々なメディアが彼の取材に押し寄せることになる。

そしてとうとう彼はドリュー・バリモアのマネジメント事務所から連絡をもらい、めでたく彼女とデートできることになるんだ。

そのときの彼の喜びようは、観てるこっちがうれしくなるぐらいだった。

映画の終盤、彼は視聴者に向け「夢の実現に躊躇してるなら今すぐ実行に移すことを強く勧めるよ」という。

もちろんそうなんだろうけど、付け加えるなら彼のメッセージがドリューへ届いた一番の要因は、ネットを使って不特定多数に呼びかけるという、当時ユニークだった方法で情報を発信したからじゃないだろうか。

現に彼がプロジェクトのほとんどを費やした「ツテを頼りにする」という方法では、ドリューにメッセージは届かなかった。

夢が突飛な程、実現に向けてどれだけユニークな方法がとれるのか、またそれがどれほど効果的なのかということが証明されたエピソードだと思ったよ。

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