なんでそんな難しい言葉を使うの?


数日前、本を読んでいたら意味の分からない言葉が出てきた。

ネットで検索したら質問サイトがヒットして、言葉の意味について質問がされていた。

質問には詳細でわかりやすい回答がなされていたのだけど、質問者からは「もっと簡単な表現があるのに、何故わざわざ回りくどい言葉を使うのだろう」と、腑に落ちていない感じのコメントが残されていた。

まあ確かに、と僕も思った。

けど同時に何か引っかかるところもあった。

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言葉の表現には2種類の伝わりやすさがあると思う。

「どんな人にも意味が通じる伝わりやすさ」と「わかる人には一言でわかる伝わりやすさ」だ。

前者は誰にでも伝わりやすい反面、往々にして中身は薄くなる。

後者はある知識や状況を共有している者同士でないと意味が伝わりにくい一方で、多くを伝えられる濃さがもてる。

例えば友達とラーメンを食べに行った時。

二人とも同じラーメンを食べて「うまいねー」って言い合ったとする。

でも友達と僕の「うまい」は、もしかしたらニュアンスが違うかもしれない。

僕は純粋に食べてるラーメンの味に対して言っているが、友達は前からラーメンが食べたいと思っていてやっと食べられたからうまいと言っている場合もある。

互いのラーメンの美味しさに対する根拠のズレはあるけれど、とりあえず分かり合えるレベル表現が「うまい」という言葉だ。

これがラーメン好き同士が評判のラーメン屋に食べに行った場合は変わってくるだろう。

美味しいということを「華やか」とか「香ばしい」とか”分かってる同士”の表現になったりする。

普通の人が言われたら「ん?」と少し考えちゃうような言い方。

でもラーメン好き同士の間では「うまい」よりもそのラーメンを的確に表現できる言葉になる。

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最初に僕が解らなかった言葉は、もともと芝居を評価する表現から派生した言葉だった。

普段はあまり聞かない言葉だし、質問者さんが言うようにもっと単純に表現できる言葉があると僕も思う。

でも選ぶ言葉が適当か否かは伝えたい相手によって変わってくる。

無関係の人にまで伝えたい場合は、単純な言葉の方が伝わりにくさを減らすことができるだろう。

でも話題について何かしらを共有している相手に伝えたい場合、簡単な言葉を使うことによって微妙なニュアンスが抜け落ちてしまう恐れもある。

最悪の場合、何も言ってないのと同じだなと受け取られかねない。

多少なりともこうやって文章を書いて公開している身にとっても、そのさじ加減がとても難しいことがよくわかる。


-考えたこと