パリピのことがよくわかる本「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」

2016/11/09


最近「パリピ」というのをよく聞きますね。

パリピとは「パーティーピープル」の略で、マーケティング用語でいうところの「アーリーアダプター(流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人)」を指します。

パリピの特徴のひとつに自分がつながっている多くの友人たちに、「楽しさ、うれしさを伝えたい」という思いがある、といいます。

<参照サイト>
マイルドヤンキーとは対極?トレンドセッターとしての「パリピ」とは|ライフハッカー

最近このパリピのことが気になりだし、その流れで読んだ本がおもしろかったので紹介します。

5年前に話題になった本です。

どんな内容の本?

簡単にいうと 人はつながりによって他人から影響を受け、また影響を与える というお話です。

なんだかありきたりに聞こえますが、紹介されている実験結果やデータはともて興味深い。 

代表的な事例として「肥満が人から人へ伝染する」という説が紹介されています。

たとえば友達が太っていた場合、自分が太る確率は45%だといいます。(この記事の一番下にある動画を参照)

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この原因として二つの要因を紹介しています。
 

ひとつは人はもともと他人を真似せずにはいられない性質があること。

もうひとつは付き合う人によって自分の常識が変わっていくことです。
 

友達がよく食べる人であれば、自分も無意識のうちによく食べるようになり、一回の食事の量も増えるようになるというわけです。

さらにこの影響は自分だけにとどまらないのだとか。

別の友達にも影響する。たとえ太った友達と別の友達との間に面識がなくてもです。

このような伝染は太った友達から見て3ステップ先の人まで、つまり自分の友達の友達にまで及ぶことが実験で明らかになったそうです。
 

社会的ネットワークとは?

タイトルの「社会的ネットワーク」って言葉、あまり聞きなれないですよね。

英語だとSocial Networks(ソーシャルネットワーク)といいます。今ならこちらの言葉の方が一般的かもしれません。

ではソーシャルネットワークとは何か?

ずばり「人付き合い」のことです。

家族とのつながり、学校の友達のつながり、近所付き合いのつながり…

このように自分を通してさまざまな人がつながること、これがソーシャルネットワークです。

ちなみにこのソーシャルネットワークを利用したネットサービスがSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)です。フェイスブックやラインなどのことですね。

SNSが従来の手紙や電話などと比べて画期的だったのは、複数の相手に対して常に交流ができるという点でした。

SNSの登場によって人と人のつながりは以前よりもより広く、より複雑になったといえます。

人の幸せを左右するつながり

たとえば稼ぎや幸せの感じ方というはその人の境遇や努力、運などによるところが大きいと考えるのが普通だと思います。

しかしこの本ではそうした個人の能力とは関係ない要素も大きく影響しているといいます。

ちょっと長いですが引用します。

人種、収入、性別、地理的条件から生じるように見える社会の格差に、こんにち、多くの注目が集まっている。学歴の高い人たちが一般的に健康状態が良かったり、経済的機会に恵まれたりする事実、白人がマイノリティーにはない有利さを享受しているという事実、住んでいる場所が将来の展望を左右するという事実に、私たちは関心を寄せている。

みんなが平等に社会財を利用できるわけではなさそうだし、利用できる方法に関しても明らかに不平等な場合が多いという認識が、政治家、活動家、事前運動家、評論家を動かしている。要するに、私たちは階級社会に生きており、社会人口学的特徴によっていくつもの階層に分けられているのだ。

だが、階層化と階級については、別の解釈もある。つながりをめぐる位置関係に基づく解釈だ。位置格差がおきている原因は、その人の人間性ではなく、どんな人間とつながっているかにある。そうしたつながりは人が社会的ネットワークのどこに位置するかを左右し、しばしば、人種、階級、性別、学歴よりもものをいう。

第9章「全体は偉大なり」370p

確かにそうかもしれません。

たとえば寂れたところにある「そこそこうまいのラーメン屋」より人通りの多い「たいしてうまくないラーメン屋」の方がお客さんが入りがいい場合があるように、個人の才能が高いからといってそれに応じた見返りが得られるとは限りません。
 

重要なポイントは多くの人とつながりを持つこと。

そしてそのつながりを持つ人もまた多くのつながりを持っていること。
 

人の輪の真ん中へ近づくほど、その人はネットワークに流れる情報や感情の恩恵を受けられるチャンスも多くなるというわけです。

また幸福になるチャンスはお金をたくさん持っていてもさほど増えないという報告も紹介されていました。

1984年に5000ドル(2009年のお金で約1万ドルに相当する)を余計もらっても人が幸福になるチャンスはわずかに2%しか増えなかった。したがって、稼ぎを増やすよりも幸福な友人や親せきを持つ方が、幸福になれる見通しが立ちやすいのではないだろうか。

第2章「あなたが笑えば世界も笑う」72p

お金は不幸やトラブルを避けるのにはとても便利ですが、幸福になるチャンスを得ることに関してはつながりの方が役に立つようです。

ただ一方で他人から影響を受ける自分というのは、自身の考えや判断といった主体性が少なからず失われるという意味にもつながります。たくさんの人に囲まれるほど「自分が見えなくなっていく」というのはよく聞く話。

しかしこれについても著者にいわせれば「それは自分の限界を超えられるということでもある」とのこと。

5年前というを感じさせないくらい示唆に富んだ本でした。

<参考動画>
著者のニコラス・クリスタキスさんの講演動画です。

右下の吹き出しマークから字幕が設定できます。(PCビューの場合だけのようです)


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