全編にわたって地味なひとり商売のノウハウ本 『はじめよう!1人でできる小さなお店』

2016/10/15


chiisanaomise

タイトルの通り、1人で店舗を経営するためのノウハウ集です。独立する際に買いました。

僕はフリーで働くようになって今月でちょうど3年が経ちました。独立当初は起業サイトや講習会、それこそマニュアル本など、ありとあらゆる情報をあさっていた時期でもありました。
 

こちらの本、一見してわかる通り、この手の他の本と比べるとあまり見栄えがいいとは言えません。装丁はパッとしないし、著者の西本さんは著名人どころか仏花をメインに扱う小さな生花店の店主です。

著作はこの本だけ。一応プロフィールには「小店舗開業・運営プロデューサー」という肩書もありますが、それらしきサイトも見当たりません。

そんな得体のしれない本なのですが、たくさん買い込んだノウハウ本の中で今でも手元にあるのはこの本一冊だけとなりました。
 
 
そして内容もかなり地味です。
 
 
著者のサクセスストーリーがあるわけでもなく、個人事業主の紹介によくある自由な仕事環境にもスポットはあてられていません。良い意味で、華がない。

ひたすら一人ではじめた商売を、いかに潰さず運営していくかというノウハウが紹介されています。具体的にはコストを抑えた商売の選び方、やり方に集中しており、この点と比べたら利益に関する記述はひどくあっさりしています。

ただ3年という短い期間とはいえ単身フリーで働いている身からみれば、書かれている実態の温度感はかなりリアルです。

最近読み返して特に印象に残ったのは、「廃業してしまう理由を知ろう」という項目です。これにはかなり納得してしまいました。

引用してみます。

仮に起業したとしても、半年から1年ぐらいで閉店、廃業してしまう人は多いものです。

なぜ長続きせずに、すぐにやめてしまうのでしょうか。おそらく、多くの人が「売上げ不振」や「赤字」などを思い浮かべるのではないでしょうか。

それは、違います。売り上げ不振や赤字でやめるのではなくて、不安や孤独に耐えられなくてやめてしまうのです。1人で経営する場合、毎日単調な仕事が続くことも多く、不安や孤独に耐えられずに廃業してしまうのです。特に暇な日が続くと1人で考え込んでしまい、ついついマイナス思考に陥りやすいものです。

西本浩也(著)『はじめよう!1人でできる小さなお店』
1章「まずは自分の気持ちをしっかり持とう」より

目から鱗が落ちるような斬新なテクニックやノウハウが紹介されているわけではありません。たぶん、半日もネットをあされば似たような内容はおおかた見つかるんじゃないでしょうか。
 
 
そんな原則に近いようなものが満遍なくまとめられた本です。
 
 
商売が成功するかどうかはタイミングや運の部分も少なからずあるでしょう。むしろ「おおむね運だ」という人だっているくらいです。

要するに本に書かれたことを忠実に行っても、最終的な結果はやってみないとわからないという話になります。

ただ書かれた原則が頭に入っていればハデにこけるリスクは減らせるはずです。それは言い換えれば再起がしやすいということでもあります。

必勝法というものがない商売という分野で勝率を上げる方法があるとすれば、それはトライできる回数を増やすことぐらいでしょう。

たとえ最初の事業が失敗しても、余力さえあればその経験は次の行動に必ず生かせます。

巻末の方で西本さんが「起業時の100万円と次の展開時の100万円では、重みが違ってきます。後者の方が前者よりも数段、有効に資金運用と投資がでいるはずです」と書かれていますが、これは僕も実感しています。

200ページとわずかな本です。「1人で10年商売をやっている先輩の話を聞く」ぐらいの感覚で読んでみることをおすすめします。


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